Samsung の新型 VR カメラ「Gear 360（2017）」は iOS や Mac などをサポートしただけでなく、ライブ配信に対応した点も大きなポイントとなっています。ということで「Gear 360（2017）」で実際に VR ライブ配信をテストしてみました。今回はそのレポートです。
「Gear 360（2017）」でのライブ配信は「Galaxy」か Windows、Mac が必須となります。iOS は今のところ非サポートです。また Galaxy では無線で行うことができますが、 Windows と Mac の場合は USB ケーブルによる有線で行うこととなります。
私は Galaxy を持っていないので Windows PC に有線で接続し、専用ソフトウェア「Gear 360 ActionDirector」を利用するという環境で VR ライブ配信を実施しました。
「Gear 360 ActionDirector」の設定
Windows 用ソフトウェアの「Gear 360 ActionDirector」側の設定は特に難しくなく、Windows PC に「Gear 360（2017）」をつなげて「Gear 360 ActionDirector」を立ち上げ “ライブ配信” を選択します。
ライブ配信の配信先は YouTube、Facebook、Samsung VR のほかにサーバー URL とストリームキーを設定する “カスタム” も利用可能です。
今回は YouTube を選択しました。YouTube 選択後は “タイトル” と “説明” を入力して “ライブ” ボタンをクリックすればすぐにライブ配信が開始されます。逆に“タイトル” と “説明” を入力しないとライブ配信できないので注意が必要です。
ちなみにライブ配信では 360° 状態の他に「Gear 360（2017）」の片側レンズのみを利用して広角映像でのライブ配信を行うことも可能です。また “限定公開” “非公開” といったプライバシー設定も利用可能。マイク入力は外部マイクを設定することはできず、「Gear 360（2017）」の搭載マイク固定です。
また “ライブ” ボタンをクリックしてから各サービスのアカウントにログインするという流れとなります。一度ログインしておけば次回以降は再ログインは不要です。
ライブ配信中のソフト側表示はこんな感じ。PC がかなり発熱したのですが、それは直射日光かだったからかもしれません。
実際の VR ライブ配信映像は以下。見ての通り画質は悪くフレームレートもかなり低いので、なんとなく場の雰囲気は伝わるものの若干見るに堪えない出来栄えではあります。またマイク入力はそれなりにリアルなので、映像と音声のギャップに違和感を感じるかと思います。
感想
「Gear 360（2017）」での VR ライブ配信はそれなりに手軽に行うことができるので提供者側は楽しいですが、画質が悪いので活用できるシーンが限られるかと思いました。フレームレートも低いので、スポーツなどのスピード感のある VR ライブ配信には向かないですし、花火大会などの美しさと臨場感を味わうシーンの VR ライブ配信も、画質の悪さとフレームレートの低さのせいで逆効果と成り得ます。
つまり場面やシーンそのものに価値を求めるような VR ライブ配信は、「Gear 360（2017）」ではまだまだ実力不足となるでしょう。例えば（人気 YouTuber などの）提供者やコンテンツそのものに魅力があればそれなりに楽しめる VRライブ配信となるかとは思いますが、そうなると VR である必要性はあまりなくなってしまいますよね。
VR ライブ配信はコンセプトや言葉的には魅力はあるものの、実際に VR 分野の新コンテンツとして盛り上がりを見せるのかはわかりません。今回「Gear 360（2017）」での VR ライブ配信を行うことでその可能性を感じられるかとも思ったのですが、画質の悪さなどが目立ってしまったので結果的には課題を多く感じただけとなりました。
またソフトウェア的な不満点を申し上げるのであれば、マイク入力が外部マイクに設定できない点はかなり不満でした。Galaxy 系の Android 用アプリでの VR 配信ならまだしも、PC と有線で接続してのライブ配信の場合は外部マイクを選択できるようにして欲しいところです。今後のアップデートでその辺の仕様が変更されることを期待したいと思います。
