ケイ・オプティコムは 2019 年 3 月 4 日、同社の MVNO サービス「mineo」の音声通話 SIM で提供している格安通話アプリ「mineo でんわ」の Android 版についての仕様変更を発表しました。
それによると、3 月 6 日に Android 版「mineo でんわ」の一部機能を削除するアップデートが行われるとのこと。その機能は、「mineo でんわ」を Android の標準の音声通話発信アプリとして利用できる “標準でも使用する” です。
つまり「mineo でんわ」を Android 標準の音声通話発信アプリとして設定できなくなるということで、半額通話や 10 分通話定額「 10 分かけ放題」を、Android 標準の音声通話発信アプリに設定した「mineo でんわ」から利用しているユーザーは、使い勝手が変更されかなり使いにくくなってしまいます。
具体的な要因
ただしこれは、ケイ・オプティコムの一方的な改悪が要因ではありません。具体的な要因は、2018 年 11 月に Google より発表された Google Play における “通話履歴や SMS へのアクセス権限” の変更にあります。
“通話履歴や SMS へのアクセス権限” は、サードパティーアプリによる通話履歴や SMS へのアクセスを許可できる権限です。これを許可することで、「mineo でんわ」のようなサードパティーアプリを、Android 標準の音声通話発信アプリとして設定したりすることができます。
ただし悪用される可能性の高く、通話履歴や SMS の送受信履歴を盗まれ悪用されることで、スパムが拡散されうる事態につながってしまうことも否定はできません。実際に、Google Play でこの権限を悪用するスパムアプリが公開されたりもしています。
これにより Google は、“通話履歴や SMS へのアクセス権限” をより厳格に制限することを決定しました。そしてその厳格な制限に準拠した内容への修正期限が、3 月 9 日なわけです。
3 月 9 日までに厳格な制限に準拠し、再申請後に Google Play から許可が下りなかったアプリは、強制的に Google Play から消されます。「mineo でんわ」の場合、厳格な制限に準拠すべく修正を行い Google Play に再申請を何度も出してそうですが、結局申請が通らず 3 月 9 日までの期限に間に合わないと判断し Google Play での公開を継続することを優先することにしたために、今回の発表となった模様です。
またスパムとはほど遠い「mineo でんわ」すら再申請が通らなかったわけなので、同じく格安通話サービスを提供している他の MVNO においても、同じような自体が予想されるとしています。逆に再申請が通った MVNO については、その信頼性が増す可能性がありますが、そのようなアプリがどの程度あるのか、もしくはまったくないのかは今のところ不明。
まとめ
ちなみに「mineo でんわ」をはじめとした各 MVNO が提供する一般的な格安通話や定額通話サービスは、電話発信時に各 MVNO に割り振られている 4 桁の数字 “プレフィックス番号” を付けることが必須となっています。“プレフィックス番号” を付けて通話発信を行うことで、その MVNO が持っている格安通話サービス網を利用して発信を行うことができるわけです。
また “通話履歴や SMS へのアクセス権限” を許可することで、通話発信時に “プレフィックス番号” を自動で強制的に付けて発信を行うことができるようになります。メリットもありますが、仮に悪用されることを考えるともろ刃の剣です。
“プレフィックス番号” を自動で強制的に付けることは、便利な一方で危険も潜んでいます。もちろん「mineo でんわ」をはじめとした各 MVNO の格安通話サービスが悪用される可能性があるわけではなく、そのまま解放していると “通話履歴や SMS へのアクセス権限” 自体を悪用する悪者が得をしてしまうわけです。
そういったことを考慮すると、やはりいくら信頼性が高い MVNO だとしても難しい気がしなくもありません。3 月 9 日が一つのボーダーラインとなるので、各 MVNO の動向に注目しましょう。
また、あくまでも悪いのは mineo をはじめとした MVNO でも Google でもなく、悪事を働くスパムやその生みの親どもです。くれぐれもお門違いな批判や文句はやめましょうね。
Source:mineo