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PDA-05B

なかったことに?三金商事のバイク用ワイヤレスAndroid Auto「PDA-05B」

  • 三金商事の公式 HP(商品一覧)からバイク用ワイヤレス Android Auto「PDA-05B」の掲載が削除
  • 電波法違反の可能性が高かったため?
  • 「PDA-05B」はバイク利用が許可されていない Wi-Fi 5.2GHz 帯(W52)のみ技適認証取得

当ブログでも 2023 年 6 月に紹介させていただいた、三金商事が国内販売するワイヤレス Android Auto 対応バイク用ディスプレイオーディオ「PDA-05B」。

そんな「PDA-05B」ですが、三金商事の公式 HP(商品一覧)からいつの間にか商品掲載が削除されました。三金商事 HP 内では、「PDA-05B」がなかったこととなっています。

三金商事はこのことについて特に何も発表を行っていませんが、これはおそらく、「PDA-05B」を日本国内で利用する場合に、電波法違反となる可能性が高かったためと、当ブログでは予想します。

Mitsukin
三金商事の公式 HP

実は当ブログ、2023 年 8 月下旬から三金商事に「PDA-05B」の件で問い合わせをしていて、現時点でもその返答待ちとなっている状態です。問い合わせ内容は、ワイヤレス Android Auto にて「PDA-05B」を利用する場合に用いられる Wi-Fi 電波についてです。

まず大前提として、ディスプレイオーディオと Android スマートフォンにてワイヤレス Android Auto を用いる場合は、システム上基本的に Wi-Fi 5GHz が用いられます。一部の例外として、Android 9 Pie の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」「Galaxy Note 8」と Android 10 の Google Pixel スマートフォンと Samsung スマートフォンは Wi-Fi 2.4GHz が用いられることもありますが、Android Auto が OS ベースでサポートされている Android 11 以降の Android スマートフォンでは、ワイヤレス Android Auto の接続用として Wi-Fi 5GHz のみが用いられます。

そして日本における Wi-Fi 5GHz は、屋内と車内利用が可能な 5.2GHz 帯(W52)/ 屋内利用のみの 5.3GHz 帯(W53)/ 条件付きで屋外利用も可能な 5.6GHz 帯(W56)の、3 つの周波数帯が許可されています。つまり日本国内でワイヤレス Android Auto を利用する場合は実質的に、W52 を利用するかもしくは条件付きで W56 を利用する方法となるわけです。

ちなみに Wi-Fi 5GHz 帯がなぜ屋外利用で制限されているかというと、気象レーダーなどとの電波干渉の恐れがあるため。W56 は条件付きで屋外利用が可能なわけですが、その条件は、電波干渉が起こりうる場合に通信を自動的に停止したり干渉しない周波数に切り替えて電波干渉を防ぐ「DFS(Dynamic Frequency Selection)」処理機能の実装です。

そして当ブログが独自に総務省に電話で確認したところ、車内で W52 を利用するのは問題なしとなる一方でバイクは屋外利用と判断されるため、W52 の利用は NG との回答を得ることができました。つまり、日本国内におけるバイクでのワイヤレス Android Auto は、ディスプレイオーディオ側が W56 +「DFS」処理機能を実装している場合のみ、電波法に準拠した状態で利用できるということになります。

Wi-Fi 5GHz
日本における Wi-Fi 5GHz(総務省:無線LANの屋外利用について
Wi-Fi 5.2GHz 帯(W52)
屋内と車内利用可能
Wi-Fi 5.3GHz 帯(W53)
屋内利用のみ可能
Wi-Fi 5.6GHz 帯(W56)
条件付きで屋外利用可能(「DFS」処理機能の実装が条件)

で、三金商事の「PDA-05B」。総務省が公開している「技術基準適合証明を受けた機器の検索」データベースで調べてみたところ、Wi-Fi 2.4GHz 帯と Wi-Fi 5.2GHz 帯(W52)の適合証明は受けている一方で、Wi-Fi 5.6GHz 帯(W56)の適合証明は受けていない可能性があることが判明しました。この情報が全てではないため、必ずしも三金商事の「PDA-05B」が電波法に違反している製品とは断定できませんが、際どい状態であることには違いありません。

以下、「PDA-05B」技適情報のスクリーンショットです。

PDA-05B
「PDA-05B」技適情報
PDA-05B
2.4GHz 帯
PB-05B
5GHz 帯(W52 のみ)

三金商事は「PDA-05B」の国内販売発表時のプレスリリース(PR Times)にて、「PDA-05B」が “技術基準適合証明取得済み” と謳っていますが、もし上記の情報が全てだとしたら、技術基準適合証明取得済みとはいえ、「PDA-05B」の利用次第で電波法に違反するということになります。

Mitsukin
“技術基準適合証明取得済み”(PR Times)

ちなみに「PDA-05B」技適情報には「PDA-05B」のほかにも、2023 年 9 月に新製品として発表したワイヤレス Android Auto 対応のバイク用 7 インチディスプレイオーディオ「PDA-07B」も含まれています。つまりこちらも、バイクの利用は許可されていない W52 のみしかサポートされていない可能性高めです。

「PDA-05B」技適情報の型番一覧
  • PDA-05B
  • C5
  • PDA-05
  • PDA-09
  • PDA-07B
  • PDA-10N
  • PDA-11N
  • HAD0901
  • HAD10
  • HAD1106
  • HAD1205
  • HAD1303

今回の内容が全てではなく、あくまでも当ブログの独自見解も含む内容となっていますが、もしこの見解通りだとすると、「PDA-05B」や「PDA-07B」をワイヤレス Android Auto にて日本国内で安易に利用することは避けたほうが良いと言えるでしょう。「PDA-05B」や「PDA-07B」は海外製品で三金商事が国内販売代理店として販売している製品なので、三金商事自体も Wi-Fi 5GHz 問題まで把握しておらず、技適認証さえ取得すれば OK と当初は判断したのかもしれませんね。

しかし国内販売後に Wi-Fi 5GHz 問題が浮上し、三金商事公式 HP からとりあえず「PDA-05B」を削除したと、当ブログでは予想します。それにしても電波問題はなかなかややこしく、いろいろと調べ甲斐がありました。

Source:三金商事

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執筆者情報:石井 順(管理人)

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