今回のエントリーはモバイルやガジェットの話ではないです。そういった内容を期待されている方、ごめんなさい。
普段個人事業主として一人で時間を過ごしていると時間や曜日の感覚がマヒしてきて、人や世間とも直接関わることもあまりないので、特に負のテンションに陥った時になかなか抜け出せないことがあります。時間に縛られることがないということは自分自身で時間の管理をしていかないといけないんですけど、負のテンションでやる気が出なかったり時間のリミットがなかったりするとなかなか浮上できないんですよね。
こういう悩み、特にブログやネット関連の仕事で生計を立てている方は分かると思います。フリーランスあるあるです。
私は個人事業主になって今で 4 年目なのでそろそろそういったことにも慣れてはきて、負に陥った時も『あ~、またか』くらいな感じであまりもがかずに身をゆだねるんですけど、あまり長く引きずってしまうと収入も落ちて生活に支障が出てきてしまうので、なるべく外に出て人に会ってリフレッシュしたりします。
歩くのもいいですね。一歩一歩進むたびにだんだんとライフが回復していく感じで、やる気が出てきたりします。逆にいろいろと考え込んでしまうことも多いけど。
昨日はそんな中、お腹も空いたのでうちから車で 10 分くらいのところに近所のパン屋さんにお邪魔しました。「i+Plus(アイプラス)」という、ご主人が一人でやられているこじんまりとしたお店で、私は週 1 くらいで通っています。
「i+Plus」は大通りからちょっと小道を入ったとこにあって凄くわかりにくいんですが、作り方や食材にこだわっているのでリピーターが絶えません。沖縄って結構そういうところが多いんですよ。そしてそういったところほど地元では結構人気があったりします。観光サイトや雑誌にはまず載らないですけどね。
私は「i+Plus」には 1 年前くらいから通っているんですが、つい最近になってようやくここのご主人と話すようになりました。多分昼間に男一人で来店することが多かったので、変な人と思われていて声をかけられなかったんだと思います(笑)
そして昨日お店に行った時も「最近は急に熱くなりましたねー」なんて世間話をしていたのですが、その中で、『うちは暑くなって湿度が上がってくれた方が助かるんですよ。発酵器を使わないで自然に任せて発酵させてるから。』という切り口で話を聞かせてくれました。
パンの発酵には一般的に発酵機を使うことは当たり前で特にお店となると大量に発酵させないとダメなので業務用の発酵機を使うそうなのですが、「i+Plus」ではそれを行わずに自然な発酵に任せているそう。だから沖縄の高温多湿な気候は丁度いいんだそうです。
でも最初からそうやっていただわけではなく「i+Plus」のオープン当初は業務用の発酵機を買って使っていたそうなのですが、それがたった一週間で故障してしまったために試しに自然発酵を試してみたんだとか。自然発酵だから放っておけばいいと思いがちですが、安定した発酵を維持するには温度も湿度も一定を保たなければいけず、特に比較的乾燥する冬場は霧吹きで 1 日数百回湿気を発生させる必要があるんだそうです。つまりは発酵機を使うより手間が掛かるということです。
そんな手間なら発酵機を買えばいいのにとも思いますが、そうやって手間をかけてパンを仕上げるからこそパン作りに集中できて、結果的に美味しいパンを提供できるって気づいたんだとか。また自然発酵で仕上げるために毎日違った顔の生地になるそうです。
でも時には失敗することもあって、そういう時は無理して販売せずにお店を休むそう。沖縄の飲食店は特に気まぐれで営業しているところが多くて営業時間を守らないところが多いのですが、「i+Plus」の場合はそれとは違ってポリシーを維持するために閉店することもあるみたい。そんな話を聞いているうちに別のお客さんが来店したので話は終わりました。
このポリシーには賛否両論あるかとは思いますが、自然に任せつつ手間暇をかける中でやむ終えずお店を開けることができないこともあるということは、私は理解できます。ただ単に “なんくるないさ~” 精神で身を任せるわけではなく、一定のハードル設けて日々クリアしていく中で、どうしても越えられないときは無理せず休む。そうして改めてパンについて考える時間が生まれるから良いんだそうですよ。
この「i+Plus」の考えやポリシーを私自身と無理に重ね合わせるわけでもなく、特にそれを見習うというわけでもないんですが、何かを作り上げる、または日々作っていく中で、こだわりを持つことは大事なんだなと、単純に感じました。当たり前のことですけど、日々同じようなことをやっているとルーティン化してだんだんつまらなくなっていきクォリティーも下がり、それを見たり聞いたり食べたりする側にも伝わってしまうものです。
そうならないための一定のハードルとポリシー、こだわりは大事。もちろんその中で新しいものを生み出すことも大事。
ただただ美味しいなーと思って食べていた「i+Plus」のパンですが、この小さな中には様々な苦労とこだわりが詰まっていると改めてわかってちょっと感動し、何かを感じました。