米国現地時間 5 月 2 日に Google が AdSense のガイドラインを更新し、スマートフォンなどのモバイル表示時における冒頭部分(ファーストビュー)の “レクタングル” 広告(300 × 250 サイズ)配置が可能となりました。
これまでのモバイルにおいてファーストビュー部分に配置できる AdSense 広告のサイズは、最大で 320 × 100 サイズの “ラージ モバイル バナー” となっていたので、今回のガイドライン更新はコンテンツ提供者にとってはかなり大きな事柄となり、それに合わせてサイトの改変を行った方も多いかと思います。
今回のガイドライン更新は、単に AdSense のポリシーが変更されただけとはなりますが、これまでAdSense のガイドラインだけでなく「モバイルファースト」という昨今の新しい SEO コンセプトに沿ってサイトの制作とコンテンツの提供をしてきた方にとってはなんとも複雑な心境になるかと思います。
それはモバイルファーストビューにコンテンツの妨げになる大きな広告を配置することは「モバイルファースト」のコンセプトに反することだからです。
モバイルファーストビューと「モバイルファースト」
ちなみにモバイルファーストビューと「モバイルファースト」って同じような言葉ですがその性質はことなります。ややこしくてすいません。しかし当記事では敢えて “ファースト” つながりで使い分けます。
モバイルファーストビュー | スマートフォンなどのモバイル機器でコンテンツを表示した時の最初の画面 |
モバイルファースト | スマートフォンなどのモバイル機器に特化した表示のサイトとコンテンツを制作するコンセプト |
「モバイルファースト」はスマートフォンやタブレットでサイトにアクセスしたときにデスクトップとは異なる、モバイル機器の画面に適したサイズの表示方法でコンテンツを表示することで、最近では「レスポンシブ」型のテーマでサイトを制作するなどが主流です。また「モバイルファースト」はウェブマスターを形成する上で重要な要素の 1 つとなります。
つまりは一般ユーザーがスマートフォンなどのモバイル機器でサイトを表示したときに、サイズだけでなくコンテンツを自然に表示することが重要で、例えばモバイルファーストビューでいきなり広告が表示されたり、コンテンツが広告だらけのサイトでは「モバイルファースト」のコンセプトに反し、サイト自体の評価が下がる可能性があるわけで検索順位が下がることにつながります。そうなると SEO 的に大打撃です。
ファーストビューの “レクタングル”
今回 Google はモバイルファーストビューに “レクタングル” の配置を許可するというガイドラインの更新は、一応 Google 内で慎重に議論を重ねた結果としていますが、あくまでこれまでの広告サイズの上限が拡大されただけでモバイルファーストビューに “レクタングル” を配置することが推奨されているわけではありません。
モバイルファーストビューにおけるコンテンツ冒頭の広告表示は誤クリックなども誘発する可能性が高まるので物理的なクリック数自体は増えると思いますが、クリックの質は低下するのでクリック単価は下がると予想されます。また「モバイルファースト」のコンセプトにも反するので結果的にサイトの評価が下がる可能性を秘めているというのが私の個人的な意見です。
モバイルファーストビューにレクタングルを配置
↓↓↓ 誤クリックのためにクリック単価が下がり、いきなり広告が表示されるサイトというユーザー認識となりサイトの評価も下がる(可能性がある) |
AdSense マスターにも聞いてみた
とはいえあくまでもこれは私個人の意見にすぎなません。なので日々 Google プロダクトでお世話になっていて AdSense フォーラムのトップユーザーでもある “マスター” に今回の Google のガイドラインを更新について聞いてみました。以下は “マスター” の意見です。
※“マスター” はあくまでも一般ユーザーの一人で Google の内部の方ではありません(精通はしてるけど)
Adsense のポリシーがよくてもウェブマスターポリシーがどうかということですね。例えば Google 検索で「北海道のカニ」というキーワードで検索してサイトを訪問したユーザーがいるとして、その際にユーザーが求めている情報と異なる広告がモバイルファーストビューに表示されてしまうと、“ユーザーのためではない” ということになると考えています。つまり、訪問者は「北海道のカニ」の情報を知りたいのに、急に広告が出てきてユーザーを惑わしてしまい逆効果となると考えます。
私の個人的な意見はあながち間違いではない模様。むしろドンピシャなはずです。
あくまでもウェブマスターの「モバイルファースト」のコンセプトとしてサイトを形成する必要があり、その中で訪問してくれるユーザーのためのコンテンツ表示に最適化しないと本末転倒になるということかと思います。ややこしいですが、要は「モバイルファースト」に準拠したサイトに訪問してくれるユーザーが求める情報を、モバイルファーストビューから表示するようにし、その上でコンテンツを妨げない AdSense 広告を配置すべきであるということです。
私自身、今年に入って当ブログの在り方を考え直し、コンテンツの内容だけでなく「モバイルファースト」のコンセプトとユーザビリティーを考慮し、スマートフォン表示時のサイドバーとモバイルファーストビュー(コンテンツヘッダー部分)に配置していた “ラージ モバイル バナー” 広告を削除しました。また当初よりコンテンツ途中(記事中)の広告配置も行わないようにしています。
そういうこともあり、今回 AdSense のガイドラインが更新されたからといってモバイルファーストビューの “レクタングル” 広告配置を行おうとは思いません。本来は A/B テストを行って結果を示すべきで、それを行っていないと説得力には欠けてしまうのですが、それをやらなくても結果は見えているというのが現時点の私の考え。今は様子見です。
もちろん今回の AdSense ガイドラインが更新は日本国内では適用外である可能性も現時点では否めないということもあります。